先輩たちを見送った話
前回の記事から更新するまでの間に、無印良品について人生で一番真面目に考えてレポート書いたり、本の書き込みについてレポート書いたりしていた。
レポートのテーマが年々カオスに進化(?)しているのは、多分気のせいではない。文学部生あるある。
それは置いておいて。
2つのゼミに所属している関係で2つの卒論発表会に参加してきたので、記録しておきたいと思う。
①
片方は、家族社会学のゼミの卒論発表会だ。
夏休み合宿で先生にものすごい怒られ方をされ、その後「体調を崩して」留年確定するという凄まじい状態の先輩が1人いるけれど*1、まあ、それ以外は概ね平和に終わった。
卒論テーマのなかには、既婚女性のアイデンティティを表す言葉が「主婦」という言葉に集約されていることを指摘するものもあって、「自分らしさ」と「女らしさ」と「私らしさ」の関係を見ていきたいなと思っている自分にとって興味深かった。
それを差し引いても、4月からずっとゼミで先輩たちの卒論が仕上がっていくところを見ていた自分としては「卒論ってこんな風にステップアップしていくのか~~~」(※「~」部分に私の感慨が表れている。いや、執筆者なのに感じるのは変なんだろうけど)という感じ。
さて。
肝心の私の卒論なのだけれど、就活に押され気味で(いや、就活ガチ勢に比べたら全然なんだろうけど)なかなか文献を読めていない。
とりあえず使えそうな文献のリストアップでも…と思ったのだけれど、「自分の生き方について」の指南書みたいなものはあっても、社会学の視点で「”自分らしく生きる”という社会のメッセージについて分析する」という趣旨の本は、案外ない。
検索条件を「自分らしさ」だけに設定しても、他者との表面的な差異(ファッションとか)か、就活における自己分析の文脈で語る本しかない。
なんとか使えそうな文献を探し出したはいいものの*2「自分らしさを生かしたリーダーズマニュアル」みたいな怪しげな本を数冊借りることになり、図書館スタッフさんに胡乱な目で見られてダメージを受けた(気のせいであってくれ…)。
これでも「自分らしさ」の方はまだいい方で、「私らしさ」に関する資料に至っては全くない。
仕方ないのでKH Coderというツールで新聞記事でも試しに分析して傾向でも見てみようかと考えている。
まだ分析まで行っていないが、ざっと本文を見ている感じ、
・「自分らしさ」:「個性」「私らしさ」と混同されている観はあるものの、青年の生き方などに対して用いられる傾向がある
・「私らしさ」:「自分らしさ」と混同されている。(一般的に言って)女性の一人称が含まれるので「女性の生き方について用いられる傾向がありそう」と思っていたが、意外と色んなところで使われる。
個人的に面白かったのは、憲法についての記事で使われていたこと。公私の利害対立ということで意図的に用いているのかもしれないけど、「自分らしさ」が自分とその周囲で完結するのに対して、「私らしさ」は社会における関係性のなかでも論じられる余地があるのかもしれないと思った。
私の卒論は無事完成するのだろうか…。
まあ、その心配ができるのは就活が終わってからですね。就活頑張ります。
②
もう片方は、メディア研究のゼミの卒論発表会。
こちらは社会心理学の視点からメディア研究を行うゼミで、去年の先輩たちがかなり熱意のある人たちだったのだけれど、その先輩たちが抜けた途端、ゼミがゼミとして機能しなくなったのを感じている。具体的に言うと、質疑応答が激減した。
発表者以外の人がコメントしても、そこから議論が起こらなくなった。「議論になるようなコメントは面倒、避けてほしい」みたいな雰囲気。
ちなみに私は色々あって今のゼミ長と折り合いが悪く、ゼミの中ではカースト最下位である。ゼミの中にカーストがあるなんてくだらないけど、余計に発言しづらくなったのは事実だ。
卒論発表会もやっぱりそんな雰囲気で、なんとか1人の先輩の研究にだけコメントして終わってしまった。*3
構想段階から聞いていて面白いなと思っていた先輩が他に1人いる(仮にAさんとする)のだけれど、Aさんは前日から咳が止まらないとかで来なかった。Aさんは来年度のゼミのことを案じていた人で、みんながサボるゼミのイベントにもきちんと参加しているような人だった。
ほんとに体調が悪かったのかもしれないけど、もしかしてもうゼミを見限ったんじゃないだろうか、そんな風に感じてしまった。
多分ゼミのなかで一番ゼミ思いだったAさんがサボってもおかしくないくらい、うちのゼミは崩壊に近づいている。
来年は同期が半分抜けて6人になるし、多分下の学年のなかからも辞める子はいるだろう。自分の卒論も心配だけど、来年の学祭論文(うちのゼミは、毎年学祭の時期に論文を2・3年生がグループを組んで書いている)のクオリティが心配だ。
今までのゼミの先輩たちが築いてきたものを、ものすごいペースで崩していく(しかもそのことを後ろめたく思っていない)同期や後輩を見ながらも、情けないけれど、自分がどうゼミに関わっていけばこの状態を変えられるのかが分からない。
去年卒業した先輩たちのような毅然さというものが、自分にはない。
某企業のインターンでのフィードバックで「言ってることは正しいのに、自信なさげに見える」って言われて激しく同意したのだけれど、うん、そういうことだね。
物腰はやわらかく、でも言うべきことはきちんと言う。
我ながら小学生みたいなしょうもない目標だけど、好きで入ったゼミだ。自分の代で破壊した、なんてことになったら、心底いたたまれない。
毅然とした態度を取れるかということと、正しい意見をきちんと言えるかは全く別のことだ。今年度みたいに腑抜けた状態でまた1年過ごしたくはない。
1年後、このゼミに入ったことを後悔しなくて済むように。